マラソン・イベント 「チャレンジ2020」 の開催に至るまで
株主兼経営陣でありながら、派閥闘争に巻き込まれ、会社を去る事になった。
その後、奮起して立ち上げた事業で失敗してしまった。
そんな時期だけに自分を見失っていたのか、情けなくも詐欺で大金を失ってしまった。
また、信頼していた者から裏切られ大金を拠出しないといけなくなり、おまけに濡れ衣まで着るはめになった。
順調だと思っていた人生が、短期間で音をたてて崩れてしまった。失った総額はジャンボ宝くじ並。
家族にも大変な迷惑をかけてしまった。
いきどおり、やるせなさ、自責の念で、毎日心が張り裂けそうだった。
「すまない。お父さんこの辺で先に失礼させてもらうよ。ごめん…」 何度も死のうと思った。
でも、そんな時必ず頭に浮かぶのは、残される家族の事だった。
そして、生後2週間で死んでしまった第二子・直樹の事も。
だけど、あの世で会った時どんな顔して会えばいいんだろう。
それに生きたくても生きられない人が大勢居る中、なんて自分は愚かな事をしたんだろう、そう思うだろう事を考えると死ねなかった。
(略)
その一方で、もう一度頑張りたい自分も居た。
ただそのためには自分自身に対する自信が絶対的に欠けていた。そんな時だった。
「お前あんなにマラソン好きだったじゃないか。もう一度走ってみろよ」
これまで兄のように慕ってきた先輩の言葉に、思わず涙がこぼれた。
この一言が心に染みわたり「よし、人生もう一度がんばって生きてみよう」そう思える大きなきっかけになった。
そして自分自身に対する新たな挑戦が始まった。
(略)
自信があれば何でも挑戦できるはず、そんな思いはあったけれど、
「あれ? 自信が無ければ挑戦できないのか?」
「いや、自信がないからこそ挑戦する価値があるんじゃないか?」
そんな自問自答を繰り返した末、出した答えは「まずは目標高く、挑戦してみる」ことだった。
自分が好きだったマラソンを通じて挑戦してみることにした。
頑張っても失敗することもあるだろうし、結果にはあまりこだわらなかった。
そう思うと何となく心も軽くなり、前よりウキウキする自分がいた。
そして「チャレンジ52」と称して、52日間、連続マラソンをしてみる事にした。
達成できればギネスの新記録になるというものだったけど、本当に達成できるのだろうか?という恐怖感も大きかった。
65歳という年齢的なものも心配のひとつだった。
経済的理由から、走った後は毎日仕事(ガソリンスタンド)に出勤した。
(略)
ギネス記録を達成してみて、色々な事を感じた。
イベント中、本当に多くの方に助けて頂いたし、この記録は私1人では到底なし遂げられなかった事も改めて痛感した。
恐らく今後も苦難を経験するだろうけど、前に立ちはだかる壁は乗り越えればいい、そう思える自分になる事もできた。
ただ、ギネス記録を達成できた事は単なる結果であって、自信を取り戻す事が出来たことが何より嬉しかった。
そして自信を取り戻す事ができた私を、我が事のように喜んでくれる仲間が居てくれたことに、心から感謝した。
(略)
私は昔から走るのが好きだったから、マラソンというスポーツを通じてチャレンジしただけなんです。
何かにチャレンジするということは、等しくすばらしい事と思います。文学や芸術でもいいじゃないですか。
だから 「一歩踏み出せない」「どうせうまくいかないだろう」と思ってあきらめてしまっている人には、是非チャレンジする勇気を持って
もらいたいと願っています。
平成27年1月2日から開催する、マラソンイベント「チャレンジ2020」は、マラソンを通じてではありますが、そんなきっかけ作りの場の
一つとしてとらえてもらえれば嬉しいです。
そしてなにより、みんなで楽しく走ることができればこの上ない幸せです。
これが 「チャレンジ2020」を開催しようと思った理由です。
「色々あっても、それら含めて全て私の人生。
人生は思いのほか短い。だからこそ精一杯生きてみたい」
NPO・HERITAGE 代表理事 楠田昭徳